Vol.1
なぜ市民ランナーには
筋力トレーニングが
大切なのか
RUNNERS COLUMN

「筋トレ、行った方がよいのですか?」とよく聞かれますが…

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私は、「はい、それは絶対行った方がいいですよ」と即答します。

でも定期的に実践しているという人、時々という人、全く行ってない人など様々です。
フルマラソン経験のあるランナーは実感していると思いますが、フルマラソンは脚の持久力勝負です。ハーフ地点通過ぐらいまでは、跳ぶように軽やかに回っていた脚が、距離・時間とともに重さを徐々に感じるようになってきます。

25歳を過ぎるあたりから精一杯脚を回さないと失速しそうになり、30歳からは「重さ」、「だるさ」、「痛さ」が大波のように次々と襲ってきます。
その3重苦の辛さに耐え、強い気持ちを保ち、脚をゴールまで動かし回し続けられるかどうかでゴールタイムが大きく変わります。

レース中やゴール後の太ももの裏、ふくらはぎの攣り、また翌日のひどい脚の筋肉痛、まさしく市民ランナーにとってフルマラソンは下半身の筋肉の耐久レースなのです。

「筋トレ」を全く実践していません!という
ランナーでも実は「筋トレ」を行っているのです。

走ること自体が、その「筋トレ」なんです。

ウォーキングと違ってランニングは飛び跳ねます。体重の数倍もの衝撃が地面からの反発で太ももの前などに加わります。 例えば初めて5㎞を走った時、あるいは故障などでブランクがあり久々に走った時など酷い筋肉痛になりますよね。また頑張った練習やレースの翌日には太ももの前の筋肉が少し太く硬くなり膨張していることを感じていませんか?でも、その後適切な回復措置(栄養、休養。ストレッチ)をとり、この練習-回復のサイクルで走行時間や距離を徐々に増していけば、地面からの衝撃に対して脚が強くなっていきます。

ところで、実業団に所属するランナーでも、体幹以外は全く筋トレをしていない、という人も多くいますが…彼らは中学では3~5㎞、高校では5~10㎞、大学では10㎞~ハーフと徐々に目指すレースの距離が長く変わっていくなかで、成長に従いそれに応じた練習時間や距離を漸増させることで5年、10年…20年とかけて脚が距離に対して適応して強靭になってきているのです。

皆さん。市民ランナーはどうでしょうか?習慣的に走り出して何年経っているでしょうか? フルマラソンデビューには数年以上の計画性がありましたか?地面からの衝撃は体重に比例しますが、皆さんの体重は実業団ランナーと比べると1.数倍ありますよね。そんな市民ランナーが目標は3か月後のフルマラソン!ということで急激に走る行距離や時間を増やせば、膝関節、股関節、足首周辺にケガ(ランニング障害)が発生する危険度が増します。 また自己記録更新!を目指し、ペースの速い練習の割合を急激に増やしても同様にリスク大です。

ある程度の長い期間をかけ、走ることによって脚を強くしていくことと並行して、走る時の衝撃負荷でなく重さやスピードの負荷を安全に脚にかけ、脚の筋量を増し、筋持久力を高め衝撃に耐えうる強靭な脚をつくりあげていくことがケガの予防、そして走力アップにつながります。

なので・・・

市民ランナーには走る以外の
「筋トレ」が非常に重要なのです。

強靭な脚づくりのために…走る以外の「筋トレ」、その方法は以下のように段階を踏み、またそれらを組み合わせながら継続的にかつ長期的に取り組んでいく必要があります。

ステップ1
マシンでの「筋トレ」で、脚の筋量を増し、ケガの予防を含めた基礎土台づくりが目的です
ステップ2
自分の体重を負荷にした自体重の「筋トレ」で、走動作に類似した動作やスピードで行い、走りに関連する筋の出力アップが目的です
ステップ3
自体重を使ったジャンプ系「筋トレ」で、出力されたエネルギーを無駄なくスピードアップ、持続力アップにつなげ、ランニングエコノミー(経済性)の改善が目的です

動画で見る
市民ランナーのための「筋トレ」

歩く時にも走りを意識していますか?
走らない日はあっても歩かない日はありません。ランニングのフォーム改善に繋がるウォーキング動作のポイントです。

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ウォーキング時には、次にあげるポイントを意識し足の回転数(ピッチ)を高めます。

  1. 1.股関節から脚全体を動かす
  2. 2.膝から下を前方へ振り出し過ぎない
  3. 3.腰下の位置で膝を伸ばす
  4. 4.足首で地面を蹴らない

片脚での筋力とバランスをチェックしましょう!
ランニングはジャンプと片脚着地の繰り返し。その動作でトレーニングしていますか?

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その場両脚ジャンプ片脚着地で、「ぐらつき」度合いの確認テストです。「ぐらつき」は太腿の前、お尻に横の筋力不足の現れです。

評価
:足の裏が動かず浮かずに、ピタッと止まれた。
:足の裏が浮いたが、バランスをたて直し止まれた。
:止まれず、上げていた足を地面についてしまった。

片足での筋力とバランスの強化種目を取り入れましょう!

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ランニング動作を意識した「自体重の筋トレ」

自体重の筋トレの「両脚スクワット」では、自分の体重の半分程度が両脚への負荷となります。
しかし「片脚スクワット」では、片脚に倍の負荷がかかり更にバランスを保つお尻の横の筋力がより必要になります。

ウォーミングアップもランニングに類似した動きで行いましょう!

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片脚動作で静止しながらストレッチができますか?
ランニングは片脚動作の繰り返しです!

片脚動作で多くの関節、筋肉を動かしながらストレッチができますか?
ランニングは全身の関節、筋肉の連動動作です!

筋トレのフォームはもちろん大事ですが、休息を取り過ぎずに短時間でしっかり負荷を連続的にかけていますか?

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ゴムチューブ(ミニバンド)を抵抗としてお尻の横の筋肉強化の筋トレ3種目を紹介していますが…同じ筋肉を鍛える種目と種目の間、またセット間でほとんど休まず、このように連続的に行っていますか?
休まず行えばかなり辛いのですが…この辛さが脚を強化し、マラソン向きの強靭な脚をつくあげていきます。

筋トレをするなら、このように効果的に、効率よく継続していきましょう。筋トレ歴35年の私が、市民ランナーである皆さんの筋トレをランニングのフォーム改善、走力アップ、ランニング障害の予防と関連付けてこれからご紹介、指導していきます。
お楽しみに!!