10月下旬ころからは毎週のように各地でフルマラソンが開催されます。レースに向けて、様々な実践練習を取り組まれると思いますが、ご自身のキャリア、走力、練習の流れ、などを基に20kペース走や30k走をこなしてみてください。
20kmペース走は、レース想定ペース前後で取り組むとよいでしょう。30km走は、下の【マラソンラップ表】を参考にしてみてください。
それぞれのポイントを総力別にアドバイスさせていただきます。
調子を使い切ってしまうことがないように、スピードの上げすぎに気をつけて走りましょう。レース想定よりも1kmあたり15~30秒ほど遅いペースで走ることをおすすめします。
また30km全てを同じペースで走る方法もありますが、【中級】であげたようなペースに変化をつけた走り方も効果的です。
ちなみに私は毎年12月に福岡国際マラソンに出場しています。このレースは5km毎に19分30秒という関門が敷かれています。安全にゴールするためには、1kmを3分45秒ペースが基準となってくるのですが、レース前4~3週間前に取り組んでいる定番練習が『WAVE走』です。
5km〔3.45〕⇔5km〔4.15〕 1kmラップに「レース想定ペース」と「+30秒」の波をつけて5km毎にペース上げ下げ。これを3回繰り返します。これで目一杯では本番はダメです。
どれだけゆとりを持ってこなせたか? を判断しています。参考にしてみてください。
アレンジ案
1.10kmゆっくり、10km少しペースアップ(レース想定前後)、10kmゆっくり
2.20kmペース走(レース想定)+10kmゆっくり、こんな温度差をつけた走り方がおすすめです。練習の30kmではすごく走れたのに、本番はダメでした。そんな方が毎年いますが、失敗の背景には、過程の練習で力を出し切ってしまった可能性があります。マラソン練習のような長い距離の練習での、良い走り(速いペースでの快走)は体を蝕みます。力をセーブして走ることも勇気だと思って、レース本番まで力を蓄えて走ってください。
30kmはちょっと距離が長すぎかもしれません。キャリアの浅い方、初マラソンのかたは25kmを目安に、ウォークを挟んでも構いませんので、動き続ける練習として取り組みましょう。既に2本程度のフルマラソンを経験している方でしたら30km走っても構いません。いずれにしても5時間動きを止めずに移動し続けるという運動負荷に慣れておくことです。時刻で計算するのも大切です。
(例)朝9時スタートとして、お昼休みの12時で3時間経過。まだ2時間以上走らなくてはなりません。ほとんどの人は、昼に血糖値が下がってくるように習慣付けられています。昼食に値するエネルギー補充はどうするか? 空腹対策をしっかり立てましょう。
※それから、どんなシューズやウェアで走るか?そんな作戦を練るシミュレーションでもあります。長時間かけて走る方ほど、重力に対して体を垂直に維持している時間が長くなり、着地回数が増えます。寒さ対策なども出てきます。
腕足の四肢をサポートするにはマクダビッドの M6566 パワーアームスリーブ や 8836 コンフォートスリーブ を推奨します。
漠然とスタートするのではなく、事前にこうした意味合いを整理して実践練習に取り組むと効果は何倍にもなります。 それから、長い距離の練習中は終盤にフォームが崩れ安くなります。終盤にどれだけ質の高い走りができるか? その積み重ねです。 大切な練習を数字だけで負うのではなく、中身の伴った形で終えてください。中身というのが、「持続可能な効率良いフォーム」のことです。
頭の重さは5~6kgと言われます。 頭の位置が前に来ると、骨盤は後傾します。体幹を使えない効率の悪い走りに陥ります。
日頃のデスクワークの姿勢がそのまま残ってしまうケースが非常に多いです。苦しくなってくると、前に進もうという気持ちが強くなる、前ばかりを見て頭が前に出てきます。この時は顔にも力みが生じ、視野が狭くなっています。あばらのあたりが詰まってしまいますので深い呼吸ができなくなります。
理想の走り方は、体の真下で着地をすることです。その着地足にしっかり体重を乗せることで地面からの反力を利用して前に進むことができます。不安定だと沈みます。腰落ちのフォームです。前に進む意識が強すぎるとか、重力を感じるゆとりがなく走っている方は、終始肩周りが硬直(力が入りっぱなし)の肩コチコチ型ランニングとなっています。通勤ラン時にザックを背負う習慣が多い方などもこういった傾向があります。
正しい姿勢、上体がリラックスされている、肩甲骨や背骨を柔らかくスウィングする腕振り、これらができていれば、腕振りのエネルギーが背骨を伝い、骨盤の回旋運動につながります。体全体を使って進む効率良いフォームになります。ところが、肩が上がってきて、上体が硬直してしまうと、何も進むことに生かせない飾りだけの腕先振りに陥ります。しかも、硬い背骨、硬い体幹が振り子のように左右に揺れています。効率の悪い走り方。腰周りに疲れがたまりやすくなります。
脚を前に出す、腿を上げる、膝を上げる、そんな意識が強い方の走りです。力を使う割にうまく進みません。5Kレースくらいまではごまかせますが、持続性に欠けるフォームなので、スピードがマラソンには結びつきません。普段、前の腿やふくらはぎがパンパンになるなどの傾向がある方、レース終盤にペースが急降下する方は、このフォームを疑ってください。
放っておいても足の重さを利用して足は落ちます。上手なドリブルも、ボールが落ちかけるある瞬間に叩くから強く地面に打ち付けられます。ドリブルもランニングの足運びもその繰り返しです。重力に逆らうことなく上手に利用する。そのエネルギーを利用して走ってください。重力に逆らい脚の筋肉により脚を持ち上げて進む。骨盤が動かなかった旧式のロボットはこういった歩き方をしていました。(現代では骨盤が動くようになり、人間に近いメカニズムで歩き走ります)。膝上げフォームは脚の末端の筋肉に頼って進もうとするので疲れやすくなります。
体の大黒柱である背骨を正して、あとは体中を終始リラックスさせて走りましょう。一歩一歩の着地の瞬間に、地面をピタッと捉えてください。
ランニング中に苦しくなってきたらこうした動作を入れてみましょう。4歩ずつ吸って、吐きます。【1・2・3・4/5・6・7・8】【吸・吸・吸・吸/吐・吐・吐・吐】両腕を開きながらあばらを開くようにして吸い、両腕をとじながら深く息を吐き出します。大きくゆったりした呼吸です。
腕と体幹との接合部、鎖骨(胸鎖関節)を片手で押さえます。ゆっくりと走りながら、そこがグリグリ動いていることを確認して腕を前に回します。力をほとんど使わずに、腕がロープになってしまったような感覚で取り組みましょう。腕を落とすときには重力を感じ取ってください。