Vol.6 地面の反発を利用する筋腱力の強化

松井祥文コーチ ランニングコーチ レースシーズンが始まるまでに走り込みに負けない強い脚をつくり上げよう

(2015.11.13)

フルマラソン4時間以内のランナーのためのレベルアップ(最終回)

今回も、上のテーマで進めて行きましょう。
ランニングの速度は、ピッチ(脚の回転数)×ストライド(1歩幅)で決まるということは、Vol.3 ハイピッチを持続させる筋力の強化で説明しましたが、今回はそのストライドを如何に伸ばして行くかのお話しです。



スピードアップの伴うランニングフォームの変化、特に脚の軌道変化

市民ランナーが「フォーム改善のため!」「走力アップのため!」とピッチ数を高める意識を持ち、走り込み、筋トレ、ドリル(リズム運動)練習を積みさねていくと、その過程で自分自身の最適ピッチ数を自然に学習していきます。

走り込むと、リラックス感も身につき、適切なリズム感も生まれ、脚も回転しやすくなりピッチ数が上がっていきます。ただストライドのアップに関しては別のアプローチ、練習法が必要になります。

ストライド、歩幅を広げるのは、前へ更に跳んでいくということですが、Vol.2 着地衝撃に耐える筋力の強化フォーム図の⑤の着地前の場面で、膝から下を大きく前に振り出しストライドを前へ伸ばすことでは、完全な踵着地になり着地時に大きなブレーキがかかかります。

短距離ランナーも膝から下を大きく前に振り出しますが前方へ着地する足の上に腰から上半身も乗せる、入れる、重心を移動させていくと意識で、そのブレーキに打ち勝ちながらストライドを伸ばして行きます。
もちろんそのブレーキに打ち勝つための、上半身、体幹、下半身の筋力トレーニングを常にハードに行っています。

「市民ランナーの場合は、ストライドを前へ伸ばすのでなく後へ伸ばす意識を持つようにしましょう!」というのが私からのアドバイスです。
「後に伸ばすという意識」とはどういうことかと言うと接地時間(足の裏が地面についている時間)を短くする意識を高め地面からより大きな反発を得る、ということです。後脚をしっかり伸ばし切り地面を長い時間押し込むという意識ではありません。


スピート練習やレースの時に、なんとなく体が重く疲れている、息の上がりが速いなあと感じる時があります。それは心肺機能の疲労ということより、脚の筋疲労で、関節が普段より微妙に曲がりすぎたり、接地時間がわずですが長くなっていたりして、いつものペースを維持するために、余分な筋力を使っているので辛く感じたり息が上がったりします。

余分な筋力を使わず浪費せずに地面反発を得て跳ねていくためには、 筋肉と、その筋肉が関節の骨につく部分の腱の合力である筋腱力の強化、 いわゆる筋腱複合体と言われる部分の連動の学習が必要です。
ふくらはぎとアキレス腱が上手に連動するために、 足関節(足首)と膝関節を固定する意識を高め、 その上でさらに跳ねるタイミングを、 様々なジャンプ運動を通じて身につけて行きましょう。

動画で見る!!地面反発を利用てきている? できていない?

ジャンプの学習ドリル

①垂直とび
腰を落とし膝を曲げ大きな力を勢いよく一瞬で出し、1回でより高い位置までジャンプするため動作です。
瞬発力が必要なスポーツ向けのトレーニング種目です。

②柔らかい連続両足ジャンプ
着地の瞬間に脱力し足首、膝、腰を曲げ、地面からの衝撃を体全体で吸収する体に優しい着地です。
しかし各関節が曲り沈み込んだ分、関節を取り巻く筋肉の力をたくさん発揮しないと跳べないので、筋肉の疲労も早く感じます。

③硬い連続両足ジャンプ
着地の瞬間に足首、膝、腰を曲がらないよに関節を固める意識、硬い棒が弾んでいる意識で、更に足の裏が地面に着く時間を短く繰り返します。
つま先だけを使った着地とジャンプ(離地)にならないよう、足の前半分で着地、その後踵が着いた瞬間に足の裏全体でジャンプします。大きくは跳べませんが、長時間行ってもさほど筋疲労がありません。

以上3つのジャンプの違いを実感できれば、この後の2つの種目は定期的に実施していきましょう。


④1、2、「3」ジャンプ
硬い連続両足ジャンプと同様の方法と同じ意識で行い、1、2、「3」ジャンプの瞬間に肘を斜め上へ持ち上げます。
「3]はより短い接地時間でより大きなジャンプを行いますが、大きく飛ぼうとするあまり、足首、膝が接曲がり過ぎないように注意しましょう。マラソンペースより速いペースの走練習の前のウォーミングアップの中で10回程度行いましょう。

⑤縄跳び
足首、膝を固くする意識で地面に着いている時間を短く、その場で連続跳びを行います。
つま先だけのジャンプにならないように足の裏全体を使います。回数は25-50回程度を目安で、2セット程度実施しましょう。それ以上の回数をすると疲れて徐々に足首や膝が曲がってくるので実施目的が変わってきますので注意しましょう。週に1,2回走練習の後や筋トレ後に行いましょう。

次に、地面反発を利用するスキップ(小さなジャンプの繰り返し)を通じて左右の脚の連動動作を学習していきましょう。




スキップの学習ドリル

①ハイニーから踏みつけスキップ前進
A) 太ももの付け根意識し、太ももを大きくあげます
B) 徐々に太ももを低く、太ももの裏、お尻を意識し足の振り下ろし動作に
C) 更に足の裏での踏みつけ意識を高め地面反発を利用します。前方へスキップで進んでいきます。
D) 体を前へ倒す意識だけで、地面を蹴らずに前へ進んでいきます。

次に片足で跳ね続けるホッピングを通じて、ぶれない筋力左右の脚の連動動作を通じ、地面反発を利用するスキップ(小さなんジャンプの繰り返し)を学習していきましょう。

そして、片足動作での連続ジャンプ、ホッピングでよりランニング動作に近づいた動きの中での地面反発を学習していきます。

次はランニング動作に近づいた片足動作での連続ジャンプ、ホッピングで地面反発を学習していきましょう。




ホッピングの学習ドリル

①ツーツー踏みつけ前進
[動作]
・片足を上げた状態から始めます
・まずはその場で1-2-1-2のリズムで、太ももの裏、お尻を意識しで足の振り下ろし動作を繰り返します。
・その後、前方に進みますが、足首を使い地面を蹴るのでなく、おへその下あたりを前に出す意識で、重心移動で進んでいきます。
・上半身は常にリラックスしています。

②片足ホッピング
[動作]
・膝、足首を曲げない意識で硬いジャンプを小さく繰り返します。
・着地は足の裏全体で。つま先になるとふくらはぎを使いすぎます。
・お尻と太ももの裏への意識を保ち、ランニング時のように肘を曲げ、腕、腰が自然に動くように。
・左右5歩づつ、計15秒程度行います。

③片足ホッピング前進
[動作]
・膝、足首を曲げないでも前に跳べるストライドで前進します。
・着地は足の裏全体で。つま先になるとふくらはぎを使いすぎます。
・お尻と太ももの裏への意識を保ち、ランニング時のように肘を曲げ、腕、腰が自然に動くように。
・左右5歩づつ、20-30m程度行います。

そして、この連載の最後の筋トレ動画は、またまた登場、スキップ!私の大好きな種目で「ロングスキップ」です。




ロングスキップ

・200m〜400mの非常に長い距離のスキップです。
・一歩一歩大きく上へ飛ぶことでなく、歩幅は小さめに膝を前へ送る意識で、リラックスして同じリズムを最後まで持続します。
・足の裏全体で着地し足首をこねずに地面反発を活かして、ふくらはぎでなくお尻と太ももの裏の筋肉を使います。
・目標の半部を過ぎると脚が徐々に重く感じて、ゴール後かなり息が荒くなっている程度の距離を設定します。 週に1-2回の実施頻度を目標にしますが、400m、姿勢を乱さず同じリズムでできるようになった方は、より速く長くできるようにもチャレンジしてみましょう!
因みに私の400mトラック1周の自己最高スキップ記録は1分33秒(3:52/Kのペース)です!




以上で6回の「ランニング筋トレ講座」の連載は終了となります。

私は健康運動指導士として、市民ランナーだけでなく、運動不足解消、健康の維持増進、体力の向上のための運動指導も行っています。その中で「筋トレ」はプログラムとしてなくてはならないものです。

「過負荷の原理」という、トレーニングを実施するにあたり多くの人に通じる法則があります。現在の身体活動(生活活動、運動)以上の刺激を与えないと体力レベルは向上しにくいということです。

例えば、生活の中で体を殆ど動かしていない人は、日常生活以上の動作や運動、ラジオ体操、早歩き、スロージョギングであっても体力は向上します。でもマラソンランナーなら、レースでかかる以上の刺激をトレーニングによって与えないと体力、走力は向上しにくいのです。その刺激とは、心拍持久力や筋持久力の向上のための走り込みによる刺激とこの連載でご紹介したいろいろな「筋トレ」による刺激です。
また「筋トレ」は、様々なランニング障害の予防に役立つということは言うまでもありません。ランナーとしていつまでも走り続ける、アクティブな日常生活をより長く営める、これには筋肉の働き無くしてはあり得ません。

この連載でご紹介した「筋トレ」が一部でも、皆さんの練習の中での欠かせないプログラムとして継続実施されるならば私としては嬉しい限りです。

お読み頂きありがとうございました。
松井 祥文


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