6回シリーズの5回目の今回と次回は、上のテーマで進めて行きましょう。
フルマラソン4時間以内のランナーが今までより速く走るためには、低速時にあまり動員されていなかった(使われていなかった)筋肉を使うことが重要です。
それらの筋肉は、太ももの裏(後)とお尻の筋肉です。
トレッドミル(ランニングマシン)で、時速8kmから18㎞までに、2km毎に徐々にスピードを上げています。
地面から離れた後の踵の高さに着目して見てください。
スピードアップともに踵の高さが、反対脚の足首、脛、膝、太もも、お尻の位置まで変化していきます。スピード(走速度)があがると、脚の軌道が大きくなることで自然にストライド(歩幅)は伸びます。 これは膝を曲げる(踵をお尻に向かって引き寄せる)、太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)や股関節を反らす伸ばすお尻の筋肉(大臀筋)が、力を発揮する比率が大きくなっているということです。
8km/hや10km/h程度のスピードでは、脚の膝はリズミカルに動いてますが踵の位置は低く小さな動きです。推進力があるというより、腰が落ちないようにしながらも、地面へのソフトな着地を繰り返しています。
それが12km/h以上のスピードになると、踵の位置は高くなり素早くお尻方向に巻き込まれ、股関節も大きく前後に開き、地面の反発を活かしながらの着地にも変化していきます。スピードの変化により、関節の動きと使用される筋肉の違いが見れ取れるでしよう。
速度は同じという条件のもとで、体の傾向きで使われる筋肉の違いを見てみましょう。これは4:00/k 15km/hのスピードです。
「やや後傾」では幾分腰の位置が下がり、足の裏が地面についている(接地時間)が長くなりベタベタという感じが出てきましたね。また太ももの前、特に付け根の筋肉を過度に使っていることもわかります。
「過度な前傾」では、ふくらはぎの筋肉で地面を押し込むという意識が見られ、着地時に太ももの前で地面からに衝撃を強く受け止めています。
ピッチとストライドによるフォームの変化と使用される筋肉の変化を見ていきましょう。詳しくは、Vol.3 ハイピッチを持続させる筋力の強化の冒頭で説明しています。
この動画も速度を規定して(4:00/k,15km/h)で、ピッチを毎分の両足着地数を、170歩,185歩,200歩と変えていきました。
このように、同じ速度でも、フォームやピッチとストライド(リズム)の違いはいろいろです。 別の表現をすれば、下半身の筋肉を偏りなく使い、無駄なく効率よく走れているランナーもいれば、そうでないランナーもいるということです。
そうでないランナーは、時間の経過をともにエネルギーを過度に消耗し、筋が局所的に疲労し、後半大失速する可能性が高くなります。。。
このトレッドミルでの動画のように短時間なら14,16,18km/のスピードで走れる方も少なくないでしょう。でも、その時のフォームやリズムを長く続けるためには、心肺機能の強化と合わせて筋肉の持久力トレーニングが必要です。前回までに説明した大腿前部等の強化はどのレベルのランナーにも必要ですが、更なるレベルアップを目指すランナーなら、今まであまり使えていなかった太ももの裏(後)とお尻の筋肉をトレーニングで意識、強化し、ランニング動作で使える使えるようしていく必要があります。
この動画の傾斜は7.5%です。(100mの水平距離で7.5mあがる傾斜)
大臀筋とハムストリングスを使えている動画に、あまり使えていない動画を挟み比較しています。
大臀筋とハムストリングスを使うには、腰高の意識を持ち、小さく跳ねて走ります。
腰を落とし、地面をこねるようなフォームは接地時間が長くなり、太ももの前や付け根を過度に使用し、体の背面に筋肉はあまり使用されていません。
膝を曲げすぎずに小さく跳ね続けると、体に背面の大臀筋とハムストリングスがより多く使用されるようになります。
体の背面の筋への意識を高める次の2種目を走練習のウォーミングアップ時に実施しましょう。
動作
動作
回数は、1種目15~20回。30秒以内の休息で2セット繰り返します。
ステップ1:マシンでの「筋トレ」で、筋の意識を高め筋量を増やす基礎土台づくりが目的です
準備姿勢
動作
ステップ2:自分の体重を負荷にした自体重の「筋トレ」を、走動作に類似した動作やスピードで行い、走りに関連する筋の出力アップが目的です
動作
準備姿勢
【バンドの位置】 軸足は足首、蹴り足は土踏まず
動作
ステップ3:自体重を使ったジャンプ系「筋トレ」で、出力されたエネルギーを無駄なくスピードアップ、持続力アップにつなげ、ランニングエコノミー(経済性)の改善が目的です
準備姿勢
動作
準備姿勢