今回はピッチ・脚の回転数のお話しからです。
速いランナーとゆっくりのランナーの違いは…当然、走っているスピードが違うということですが、ブレークダウンすると、脚の回転数である「ピッチ(ステップ頻度)」と1歩の歩幅「ストライド(ステップ長)」が違うということですね。
走っているときの速度は、ピッチ(脚の回転数・歩/分)×ストライド、(1歩幅・cm/歩)で計算されます。
※ピッチ:左右の足が1分間に地面に着く回数の合計
1分間あたり150歩のピッチで、1歩のストライドが80cmのランナーは、150歩×80cm=分速で12000cm=120m、時速に直すと7.2km(8:20/k)で走っていることになります。
1分間あたり180歩のピッチで、1歩のストライドが100cmのランナーは、180歩×100cm=分速で180m、時速10.8km(5:33/k)になります。
速く走れるということは、ピッチかストライド、あるいは両方が大きくなっているということです。
トップアスリートでは、野口みずき選手はピッチ197歩、ストライド151cm(身長の101%)、高橋尚子選手はピッチ209歩、ストライド145cm(身長の89%)程であったと言われており、掛けると時速18km(3:20/k)前後のものすごいスピードになります。 市民ランナーの方でも、
1000M?いや400M?いや100M?ぐらいまでならこのお二人に付いていけるでしょうか…短時間ならこのハイピッチ、ロングストライドで頑張れそうですね。でも距離が長くなるにつれて、脚が動かくなる、息苦しくなって…と離されていきます。
なので、自分が持続できる最適ピッチ×最適ストライド(=走速度)を身につけそれをより持続できるようにトレーニングで強化していきます。
ところで…
最近はピッチ計測機能がついたランニングウォッチも普及しているので、それならすぐに正確な数値がわかります。 持ってない方でも、1分間を走る中で、両足が地面に百何十回着くかを数えればいいのですが、以下のように工夫して計測すると数え間違えることなく正確です!!
まずはその速いピッチのリズムを実際感じることです。スマートフォンのアプリ等の「メトロノーム」を活用すれば、指定した頻度で音が鳴るので、180や185などに設定し、1分程聞きながら、その音にピッチを合わせて走りましょう。
トレッドミルで実施する時はピッチを上げても勝手にスピードは速くならないので、ストライドは狭くなり大きな上下動が顕著に改善されていくでしょう。屋外の時は、ピッチを上げてもストライドを狭くする意識を持ちます。ストライドを狭くしないと、走速度が上がります。そうなると「息が上がった」「脚が疲れ」たということになりますので、速度を変えずにピッチを上げるように気を付けましょう。ピッチ数を上げると、初めは脚が忙しく動き、違和感があるかも知れませんが、この新たな効率的なリズムに脚が慣れると脚の持久力の基礎がつくられてきます。
ペースダウンとは、ストライドが小さくなりピッチが落ちる・少なくなるということですが、走力の高い女性ランナーは一般的に190以上のピッチ数が多く、ピッチ数を高め、維持する意識を日頃から持っているので、フルレースでも最後までピッチが落ちることなく比較的ペースを維持できるようです。
ピッチ数が少なく、ストライドに頼って走っているランナー(ピッチ170程度以下)は脚への着地衝撃も大きく、足首の動きも大きいので、レース終盤では脚の太ももの前やふくらはぎの筋力の低下が大きく、ストライドもかなり狭くなり、ピッチも維持する意識がないことも重なり、大きく減速します。
ストライドが狭くなりつつある時にこそ、ピッチ数は落ちない様に意識し、膝を前へ送る意識を更に高め動かし、ペースを維持していくことが、ペースダウンを防ぐ要因の一つになります。その意識、動作に関連する筋肉が、股関節の付け根の腸腰筋(ちょうようきん)です。足が地面から離れる時に伸ばされていて、その後素早く縮んで、脚の回転、ピッチを高めていきます。 そのトレーニング法を今回も動画で説明します。
Vol.1 なぜ市民ランナーには筋力トレーニングが大切なのか? でも書きましたが、歩く時にもランニング動作との関連を意識しましょう。歩幅を広げるウォーキングでなく、ピッチを高めるウォーキングを行うと腸腰筋の意識が高まります。
つま先を上げず踵をリズミカルに上げ下げします。膝を上げず前へ送る意識が身につきます。
太ももを45度程度まで上げ、1.2.3で一瞬止めます。 素早く股関節を曲げる意識が身につきます。
マシンでの「筋トレ」で、筋の意思を高め筋量を増やす基礎土台づくりが目的です
準備姿勢
動作
マシントレーニングが出来ない方のためのゴムチューブ(ミニバンド)を使った代替の種目です。
準備姿勢
動作
自分の体重を負荷にした自体重の「筋トレ」を、走動作に類似した動作やスピードで行い、走りに関連する筋の出力アップが目的です
準備姿勢
動作
前月も紹介した種目ですが、今回は股関節の動きを意識して行います。
準備姿勢
動作
自体重を使ったジャンプ系「筋トレ」で、出力されたエネルギーを無駄なくスピードアップ、持続力アップにつなげ、ランニングエコノミー(経済性)の改善が目的です
動作
Vol.2 着地衝撃に耐える筋力の強化で紹介した「ロングスキップ」を短い距離で速いスピードでも行います。