なんとなく四角いロボットのような感じで生活し、走ってはいませんか?
中心のラインは背骨です。このラインのことを軸と呼んでいますが、体を支える大黒柱だと思ってください。ランニング中、できたら日常生活でもこの中心の軸をくっきりと鮮明に意識することが大切です。正面から見たときにはまっすぐ垂直。横から見た時にはアルファベットの「S」の字を描いていて、骨盤がやや前傾をしています。
背骨の上には重たい頭が載っています。中心軸が整っていれば、柱である背骨によって支えられていることになり、無駄な力を必要とせずに安定します。
ところが、姿勢が崩れて安定していない場合には、様々な筋肉が終始硬直した状態で支えることになります。
例えば猫背の場合には、重たい頭が前に崩れかけていて、首や肩の筋肉によりこれ以上前に落ちないようにバランスを保っているのです。力の無駄遣いと言えますし、肩こりや腰痛に悩まされます。上体が硬い、柔軟性のないフォームが気になる方は、ご自身のシルエットをチェックしてみましょう。
丸い「頭」と垂直の「1本のライン」。お裁縫の「まち針」のようにイメージして私は走っています。
中心軸(まち針)が安定していて、そこに四肢(両腕・両足)がぶら下がり、リラックスできている。そんなイメージです。走るエネルギーの源は中心軸から生み出され、四肢(両腕・両足)の枝先へと伝達されます。《体幹→末端》という順序の伝達です。
このメカニズムはVol.3「こけし走り」の回で改めてご紹介します!!
※指導者によって「重心」は諸説あるので、敢えて「バランス」で書き進めます。
マラソンは、スタート後はひたすらゴールを目指して前へ進めば良い競技です。信号が青になったらあとは一度も止まることのない等速直線運動のドライブに例えることができます。苦しくなってきても、軸をキープ。腰が後ろに引けたりせず、バランスを前へ崩しながら走り続けられるかがポイントです。
(※頭だけが前のめりになり、腰が引けた姿勢は間違えです。注意してください)
一方で球技など対人競技では青信号で急加速、赤信号のストップ、右左折のターン。走るのみならずサイドやバックステップなどの移動なども要求されます。マラソンとは無縁のように思えるかもしれませんが、行きたい方向にどれだけスムースに体のバランスを崩せるかどうかがポイントとなってくるのはこちらもマラソンも一緒です。(但し、体全体の崩しか、下半身だけの崩しかなど細かい技術や、相手の裏をかくフェイントなど、細部の技術では奥深くなります)。
猫背など軸が歪んでいる、腰が引けている・腰が落ちているような走り方のランナー向け
猫背など軸が歪んでいる、腰が引けている・腰が落ちているような走り方のランナー向け
平坦で舗装された道ばかりを走っているランナーは、フォーム全体が固くなりがちです。不安定な所でバランスを取ろうとする要素が欠如していると、ここまでお話してきた体重移動の感覚も疎くなってきがちです。起伏コースや、舗装されていない路面を柔らかいフォームで走る。敢えてそんな状況を選んで走る習慣を入れてみましょう。きっとフォームが良い方へ変わってくるはずです。