カラダとケガについて
足首の解剖学
Anatomy of the ankleMcDavid
SPORTMED LABO

足関節(足首)

足関節(足首)はとても複雑な関節で、骨・靭帯・腱そして筋肉を張り巡らせてできています。体重を支えつつ、体を動かすことができるほど強い関節ですが、スポーツにおいて下腿、足首、足は重要な役割をもっているために、ケガが多い部位でもあります。

スポーツは下腿に急性・慢性のストレスをかけるため、捻挫や挫傷、骨折、オーバーユース(使いすぎ)系のケガへとつながります。バスケットボール、サッカー、アメフトでは足首に高い負傷率があり、また、女性競技者の方が男性に比べて25%以上多く軽度の足首捻挫がみられます。

関節の種類

距腿関節(足根)は蝶番関節です。蝶番関節とは片方の骨の表面が凸曲面(距骨)であり、これがもう一方の骨の凹曲面のくぼみに適合する関節のことをいいます。距腿関節においての凹曲面のくぼみは、一つの骨ではなく二つの骨(脛骨・腓骨)によって形成されているのが他の関節との違いで、ドアの蝶番のように一方向のみに動きます。

足首にはもう一つ、距骨下関節と呼ばれる重要な関節があります。名の通り距骨の下の踵骨との関節で、距骨自体に筋肉の付着はなく、距骨下関節を支えるのはいくつもの小さい靭帯だけです。距骨下関節は顆状関節に分類され、片方の骨の表面が楕円状の凸面であり、これがもう一方の骨の楕円状の凹面に適合する関節です。顆状関節は2軸間の動きができるという特徴があります。

可動域

距腿関節で起こる運動は底屈(屈曲)と背屈(伸展)です。距骨下関節で起こる運動は外転、内転、回外、回内です。距腿関節と距骨下関節の運動が組み合わせることで円運動が可能になります。また底屈・内転・回外の組み合わせを『内返し』、背屈・外転・回内の組み合わせを『外返し』と呼びます。

正常関節可動域 (日本整形外科学会より引用)

【距腿関節(キョタイカンセツ)】
◯底屈(屈曲)・・・45°
◯背屈(伸展)・・・20°

【距骨下関節(キョコツカカンセツ)】
◯外転・・・10°
◯内転・・・20°
◯回外・・・30°
◯回内・・・20°

脛骨(ケイコツ)
すねにある2つの骨の内側のもので、下腿部の唯一体重を支える骨です。体重を支える骨であるため、この骨を負傷すると歩行などが困難になります。内側面は足首付近で内果になります。

腓骨(ヒコツ)
すねにある2つの骨の外側のもので、体重負荷には直接関与していない骨です。主に筋肉の付着部としての役割を持ちます。足首部分では矢尻のような形の突起、外果になります。

踵骨(ショウコツ)
かかとの骨。足で最も大きくて、最も強い骨です。距骨から地面への体重を伝えます。また、アキレス腱の付着部にあたります。

距骨(キョコツ)
脛骨、腓骨、踵骨の間にある骨です。一番の役割は足と下腿を繋げることで、足首から下腿に体重がしっかりと伝えることです。それによりバランスを取りつつも歩行を可能にしています。

靭帯

内側

三角靭帯(サンカクジンタイ)
4つの靭帯群。内果から広がり、距骨・踵骨・舟状骨に付着しています。
◯主な役割:足の外反時に足関節を安定させます。
  

外側

前距腓靭帯(ゼンキョヒジンタイ)
フラットで弱い帯状の靭帯。外果前方から距骨の前面に付着しています。
◯主な役割:底屈の時にピンと張る役割をします。底屈時の内反の動きを抑制し、また脛骨に対して、距骨が前方にずれることを制限します。

踵腓靭帯(ショウヒジンタイ)
丸い帯状の靭帯。外果の先端から踵骨の外側に付着しています。
◯主な役割:足関節の内反時の主たる抑制の役割をします。

後距腓靭帯(コウキョヒジンタイ)
分厚く、比較的強い靭帯です。外果後方から距骨の後面に付着しています。
◯主な役割:脛骨に対して距骨が後方にズレることを抑制します。

筋肉

足関節に深く関わる筋肉は下腿部にあります。下腿部には4つの区画(コンパートメント)があり、各筋肉が筋膜などにより仕切られています。下腿部の筋肉は膝関節、足関節、足趾の運動に作用します。

【前方区画】
前脛骨筋、長母指伸筋、長趾伸筋が含まれ、主に足関節を背屈させる役割をします。

【外側区画】
長腓骨筋、短腓骨筋が含まれ、主に足関節を底屈させ、足関節を外反させる役割をします。

【後方浅部区画】
腓腹筋、ヒラメ筋が含まれ、主に足関節を底屈させる役割をします。

【後方深部区画】
後脛骨筋、長趾屈筋、長母指屈筋が含まれ、主に足関節を底屈させる役割をします。