カラダとケガについて
内反捻挫(ネンザ)
Ankle Inversion SprainMcDavid
SPORTMED LABO

足首内反捻挫(ネンザ)とは

足首の内反捻挫は全ての年代・アスリート・インドアに起こる最も一般的な怪我です。
足首の外側には主に3つの靭帯(前方から順に前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靱帯)があります。前距腓靭帯および後距腓靱帯は脛の外側の骨(腓骨)と距骨(脛の骨と踵の骨の間にある)を繋げる靭帯、距腓靱帯は脛骨と距骨(かかと)を繋げる靭帯です。
内反捻挫は足首を捻ることでそれらの靭帯の一つもしくはそれ以上を伸ばすあるいは断裂し、痛み、腫れ、歩行困難を引き起こします。

我慢して医師の診察などを受けない人も多いですが、軽度の痛みと腫れ以上の症状がある場合は、医師の診断を受けることが重要です。正しい治療・リハビリを受けずにいると受傷した足首は正しく治癒せず、可動域の低下・関節の不安定が残り、結果として捻挫癖がついてしまいます。

また重度となると腓骨筋腱脱臼、外果骨折(腓骨)、軟骨損傷などの合併損傷が起こることがあります。

どのようにして起こるか

足首が強制的に内側へ曲げられること(内返し)で、外側の靭帯が伸びる/損傷してしまいます。足首が内側へ曲げられている状態(内返し)は足首が最も不安定になる肢位であるため、強い力に耐えることができません。足首をひねる原因は様々な要因があります。アスリートで多くみられるのは、他人の足の上に着地してしまい捻ってしまうケースや、急激に止まろうとした際に勢い余って足首をひねってしまうケースです。

また、何らかの原因で膝をしっかり曲げ・足を上げて歩くことができない場合(筋力の低下や柔軟性の低下など)、後ろ足を前に移動させる際に足先が地面に引っかかってしまい足首を捻ってしまうことも多く、これは高齢の方に多く見られます。

加えて、片脚立位でのバランスは足関節捻挫には大きく影響します。特に内反捻挫の場合は片脚立位で上半身が外側へバランスを崩してしまうと、足首が内反しやすくなるため捻挫のリスクが高くなります。また、着地した際に膝が外側に開いてしまうことで内反しやすくなるため同様にリスクが高まります。
片脚立位での体幹や股関節周りの筋力向上や着地時の殿筋や内転筋などの筋力向上をすることでリスクの高い肢位(身体の位置と方向)を避けることが可能となり予防に繋がります。同時に足関節周囲の筋肉が瞬時に反応して身体の動きをコントロールできるように腓骨筋などの筋肉の固有受容覚*を高めることも重要となります。

症状

一般的な症状

痛み
足首の外側に痛みを感じます。体重を乗せると悪化します。

ハリ
足首を触るとハリを感じます。

腫れ
足首の外側に腫れが見られます(受傷後、すぐに腫れない場合もあります)。

変色
内出血がおこり、青あざがみられます。

可動域の低下
足首が固くなった感じがします。足首を動かすと痛みを感じるため、動きが低下します。

歩行困難
足首に痛みを感じるため、歩行が困難になります。

重症度

Ⅰ度(軽度)
軽度な痛み、腫れが少しまたはほとんど見えない状態。また、皮膚の変色(青あざ)などは見られず、関節の緩みもない、荷重歩行に問題がない状態。

Ⅱ度(中度) 
中度の痛み、腫れや関節にハリを感じる、変色が見られることもある状態。また、軽度から中度の関節のゆるみ、軽度の可動域の低下がみられる、加重歩行に痛みを生じる状態。

Ⅲ度(重度) 
激しい痛み、腫れ、ハリ、変色がみられる状態。また、関節が不安定で可動域の低下がみられる。荷重をするのが困難な状態。

フィジカル コンディショニング

アンクルモビリティ 足首の可動域アップ

1.片膝立ちになり、棒(傘でもなんでも良い)をつま先に合わせて持つ。
2.息を吐きながら体全体で前に動き、膝を棒につける。

ONE POINT
この時足首の前側が痛い人はこのエクササイズをやるには時期尚早な可能性があるので、注意する。
ふくらはぎが伸びる感じがあればよい。

FHL 足趾の筋力アップ

1.足首を少し足裏の方に曲げて、足の親指にゴムバンドをかける(ない場合はタオルなどをかける)。
2.親指を曲げる。

ONE POINT
ゴムを引っ張る強さは、親指が最後まで曲げられるくらいにする。
指が動かないのは強度が強すぎる。

スタースクワット 足の筋力アップと、足首の制御能力向上

1.片足でスクワットをしながら、上げている足を前後左右なるべく遠くにタッチするようにする。

ONE POINT
タッチできる距離を測定しておくと進捗状況がわかる。動画は4方向だけだが、それぞれの中間の方向の8方向をやってもよい。
また、クッションなどに乗り、足場を不安定にするとさらに難易度が上がる。この場合は転倒に注意する。