カラダとケガについて
手首/手指の解剖学
Anatomy of the wrist/fingerMcDavid
SPORTMED LABO

手首/手指関節とは

手首および手指は日常生活の広範囲で使われるだけでなく、スポーツのあらゆるスキルにおいても重要な役割を果たしています。物を持つ、キャッチする、持ったものをあらゆる方向へ動かすことや、体を支えるといった役割もあります。この一関節を負傷するだけでも、日常生活およびスポーツにおける動きは大きく制限されしまいます。
手首と手指は多くの小さな骨と関節で形成されています。これにより日常生活やスポーツ時に必要とされる様々な動きに対して機敏に対応できます。

関節の種類

手首(橈骨手根関節)は顆状関節です。顆状関節とは一方の骨の凸面が楕円状、対となる骨の凹面が楕円状になっていて、この二つがお互いにはまり込む関節のことをいいます。この関節は2軸性を持っているため、2軸性を組み合わせることで限定的な円運動も可能になります。

母指関節(母指手根中指関節)は鞍関節と呼ばれています。鞍関節は、一方の骨の突き出した関節面が鞍の形(人が馬に乗るときに用いる馬具の一種)をしていて、もう一方がそこにはまり込む形になっています。この関節も顆状関節同様に2軸性を持っているため、組み合わせることで限定的な円運動も可能になります。

可動域

手首(橈骨手根関節)で起こる運動は掌屈(屈曲)、背屈(伸展)、尺屈(内転)、橈屈(外転)です。この4つの動きを組み合わせることで円運動が可能になります。

母指関節(母指手根中指関節)で起こる関節は屈曲、伸展、外転、内転です。手首と同様にこの4つの動きを組み合わせることで円運動が可能になります。

正常関節可動域 (日本整形外科学会より引用)

【手首(橈骨手根関節)】
〇掌屈(屈曲)・・・90°
〇背屈(伸展)・・・70°
〇尺屈(内転)・・・55°
〇橈屈(外転)・・・25°

【母指関節(母指手根中指関節)】
〇屈曲・・・90°
〇伸展・・・0
〇内転・・・0°
〇外転・・・60°

尺骨(しゃっこつ)
上腕にある二つの骨の内側の一つ。手首側にいくにつれて細く小さくなっています。実際には手首関節(橈骨手根関節)には届いていません。

橈骨(とうこつ)
上腕にある二つの骨のうち、外側の骨。肘関節側では小さく細い形をしていますが、手首側では大きく広がり手根骨と関節を形成しています。

手根骨(しゅこんこつ)
8個の骨の集まり。この限られた範囲で多数の関節が発生することで手首を様々な方向へ曲げることが可能になっています。手首に近い列を近位手根骨列と呼び、舟状骨・月状骨・三角骨・豆状骨が含まれます。また、手首から遠い列を遠位手根骨列と呼び、大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨が含まれます。

覚え方
「船に乗って(舟状骨)月を見れば(月状骨)三つの(三角骨)豆(豆状骨)。大小(大菱形骨)(小菱形骨)頭に(有頭骨)鈎かけた(有鈎骨)」

靭帯・軟部組織

〇TFCC(三角線維軟骨複合体)
手首の尺骨側にある軟骨組織です。三角線維軟骨、橈尺靭帯、尺骨手根伸筋腱鞘床、関節包で構成されハンモックのような構造をしています。
◯役割:手根骨を安定させたり、クッションの役割をします。また、何かものを掴むときあるいは上腕を回転させるときに尺骨と橈骨を安定させています。