内側側副靭帯は肘の内側にある3つの帯からなる靭帯で、上腕骨と尺骨を主に繋げています。その役割は、肘の外側からのストレス(外反ストレス)に抵抗することで、関節の内側部分が開きすぎるのを防いでいます。
肘の内側側副靭帯はかなり強固な靭帯で、三つの部位に分けられます。
・ 前斜走靭帯
・ 後斜走靭帯
・ 横走靭帯
多くの場合は、前斜走靭帯の単独の損傷がみられますが、複数の靭帯を損傷していると関節が不安定になってしまうので、競技復帰には手術という選択肢も強くなってしまうケガです。
ヒジの内側側副靭帯の損傷には大きく分けて、二種類あります。
例えば、ラグビーやアメフトのタックルの際、体は相手選手により固定されてしまっていますが、自らの動き、もしくは相手の動きで腕が外側に開くように持っていかれてしまう場合は、内側側副靭帯を損傷してしまうことがあります。また、ラグビーやアメフトに限らず、柔道などのスポーツや日常生活も含め転倒した際に、肘を伸ばしたままの状態で地面に手をついてしまうと、本来はヒジを曲げることでクッションになるはずなのに、全ての力がヒジ関節にかかってしまい、靭帯損傷につながります。
*実際は1回のケガで内側側副靭帯を痛めるよりも、繰り返されるストレスによって痛める方が多い。
ボールを投げる時、腕は鞭のようにしなり、その反発力をボールに乗せることで遠くに投げたり、早いボールを投げられるのですが、この時にヒジには大きな力が加わります。ここで骨と骨が脱臼しないように関節をとどめる靭帯が重要な役割を負います。ヒジの内側では牽引力が発生し、靭帯や骨が極限まで引っ張られます。一度の投球で靭帯が切れることは滅多にありません。いれずも積み重なる小さなストレスにより、少しずつ痛んでいた部分が最終的に断裂してしまいます。
また、内側側副靭帯は野球の投手だけに起こるケガではありません。その他にはアメフトのQB(クウォーターバック)ややり投げの選手などでもみられます。ただ、野球の投手ほど連続して投げる動作をするスポーツも珍しく、事例としては野球の投手で起こることが非常に多いです。
痛み
肘の上腕骨内側上顆の周りが痛みます。
腫れ
肘の内側に腫れが起こります。
関節の不安定感
関節が緩い感じがします。
可動域の低下
関節の不安定感を感じるため、可動域が低下します。
※痛めた瞬間に、ブチっと何かが弾けるような音が聞こえる場合があります。
前腕ストレッチ1 前腕の緊張⇓
1.肘を伸ばし、指を下に向ける。指から手首までを反対の手でつかみ、手の甲側に倒す。
2.肘を伸ばし、握りこぶしを作る。反対の手でつかんで手のひら側に向ける。
ONE POINT
手の甲側に倒す時は肘の内側が、手のひら側に曲げる時は肘の外側が伸びるのを意識する。
前腕ストレッチ2 前腕の緊張⇓
1.四つ這いになり、指を足側に向けるように手をつく。
ONE POINT
お尻を少し後ろに動かすと前腕の内側が伸びる。
お尻を引きすぎると、肘が過伸展してしまい痛くなる可能性があるので注意する。
手首のトレーニング1 前腕の筋力アップ
1.手首から先が椅子や机の外に出るように置く。
2.手のひらを上向きにし、重りを持つ。
3.手首を伸ばしながら、指がかかるぎりぎりまで重りを下げ、重りを握りながら、手首を曲げる。
手首のトレーニング2 前腕の筋力アップ
1.手首から先が椅子や机の外に出るように置く。
2.手のひらを下向きにし、重りを持つ。
3.手首をだらんとおろしているところから、手の甲を自分の方に近づけるように、手首を最大限曲げる。
ONE POINT
ゆっくりと動作を続ける。
手首のトレーニング3 前腕の筋力アップ
1.手首から先が椅子や机の外に出るように置く。
2.小指側を下にして重りの先を持つ。
3.持った重りを左右に90度ずつ動かす。
ONE POINT
手が浮かないように注意する。