下腿部とは一般的に知られているふくらはぎとすねであり、膝関節から足関節の間のことを指します。下腿部には脛骨と腓骨があり、下腿骨間膜や(前・後)脛腓靭帯により結合し特に足関節の安定性に関与しています。また下腿部には4つの区画(コンパートメント)があり、筋肉が筋膜などにより仕切られています。
下腿部はランナーなどで慢性的な疲労が原因として起こるシンスプリントや疲労骨折が頻発する部位です。
下腿部に深く関係する関節は膝関節と足関節であり、下腿部にある筋肉はそれぞれの関節の運動に作用します。
膝関節で起こる運動は屈曲/伸展であり、足関節(距腿関節)で起こる運動は底屈/背屈です。また膝関節や足関節の運動に伴い下腿部には回旋が起こります。
そのため下腿部は膝関節および足関節の動きの影響を大きく受ける部位と言えます。
【膝関節】
屈曲・・・130°
伸展・・・0°
【足関節】(距腿関節)
底屈・・・45°
背屈・・・20°
下腿部には脛骨と腓骨があります。
脛骨
スネにある2つの骨の内側のもので、下腿部で唯一体重を支える骨です。体重を支える骨であるため、この骨を負傷すると歩行などが困難になります。内側面は足首付近で内果になります。
腓骨
スネにある2つの骨の外側のもので、体重負荷には直接関与していない骨です。主に筋肉の付着部としての役割を持ちます。足首部分では矢尻のような形の突起、外果になります。
下腿部にはある脛骨と腓骨は、下腿骨間膜や脛腓靭帯により結合しており、特に足関節の安定性に関与しています。
下腿骨間膜
下腿骨間膜とは脛骨と腓骨を結合している線維膜です。
足関節や足趾の動きに関与する筋肉が付着しているため、筋機能に関与します。また足関節の運動に合わせて脛骨と腓骨の間を維持することで足関節の安定性にも関与します。
脛腓靭帯
脛腓靭帯とは脛骨と腓骨を結合している靭帯です。膝関節に近い位置にある近位脛腓靭帯と足関節に近い位置にある遠位脛腓靭帯があります。
これらの靭帯は腓骨と脛骨が離れないようにする役割があります。特に遠位脛腓靭帯は足関節の運動の安定性に関与しています。
下腿部には4つの区画(コンパートメント)があり、筋肉が筋膜などにより仕切られています。
下腿部の筋肉は膝関節、足関節、足趾の運動に作用します。
前方区画
前脛骨筋、長母指伸筋、長趾伸筋が含まれ、主に足関節を背屈させる役割をします。
外側区画
長腓骨筋、短腓骨筋が含まれ、主に足関節を底屈させ、足関節を外反させる役割をします。
後方浅部区画
腓腹筋、ヒラメ筋が含まれ、主に足関節を底屈させる役割をします。
後方深部区画
後脛骨筋、長趾屈筋、長母指屈筋が含まれ、主に足関節を底屈させる役割をします。