カラダとケガについて
下腿コンパートメント症候群
Compartment SyndromeMcDavid
SPORTMED LABO

下腿コンパートメント症候群とは

下腿コンパートメント症候群とは外傷(打撲・骨折・脱臼など)による出血などで下腿の組織内圧が上昇して、血管の循環障害や神経障害を引き起こし、重度となると組織の壊死(えし)が起こる障害です。

外傷だけでなく慢性的な疲労による筋腫脹によっても起こることがあります。急激な腫脹(腫れ)や変形がある場合はすぐに医療機関を受診し、詳細な検査や処置をしてもらう必要があります。

どのようにして起こるか

下腿コンパートメント症候群は下腿にある4つの区画内(前方区画、外側区画、後方浅部区画、後方深部区画)の組織内圧が上昇することで血管の循環障害や神経障害を引き起こすことで発症します。

どの区画でも起きる可能性はありますが、前方区画で最も起こりやすいです。

内圧上昇の主な原因は外傷(打撲、骨折、脱臼あど)による出血や腫脹(腫れ)です。また慢性疲労による筋腫脹により内圧が上昇し起こる場合もあります。

外傷によるものはラグビーやバスケットボールなどで起こりやすく、慢性疲労によるものは陸上長距離やサッカーなどで起きやすいです。

症状

下腿コンパートメント症候群の症状は、痛み(pain)、感覚障害(paresthesia)、麻痺(paralysis)、蒼白(pallor)、脈拍の消失(pulseless)として知られています。

重度の場合は安静時にも強い痛みがあり、神経麻痺が起こります。特に急激な腫脹(腫れ)や疼痛が起きている場合や神経麻痺が起きている場合は、内圧が急激に上昇して重度となる可能性が高いため、直ちに医療機関に搬送します。

内圧が上昇しすぎている場合は該当区画の筋膜切開術を行い、内圧を下げる処置を行います。

各症状の出現する場所はどの区画で内圧が起こっているかにより変わります。

内圧が起こっている区画と症状

前方区画
・下腿前面から外側にかけて腫脹や圧痛
・第1足趾と第2足趾の間の知覚麻痺
・足関節や足趾の背屈の筋力低下
・他動の足関節や足趾の底屈による疼痛

外側区画
・下腿外側の腫脹や圧痛
・下腿下方外側から足の甲にかけての知覚麻痺
・足関節の外返しの筋力低下
・他動の足関節の内返しによる疼痛

後方浅部区画
・下腿後方の腫脹や圧痛
・下腿下方後方や足部外側の知覚麻痺
・足関節の底屈の筋力低下
・他動の足関節の背屈による疼痛

後方深部区画
・下腿内側(脛骨の裏あたり)の腫脹や圧痛
・足底の知覚麻痺
・足関節の内返しや足趾の屈曲の筋力低下
・他動の足趾の背屈による疼痛

フィジカルコンディショニング

急性型の場合は冷却、圧迫、挙上は血流の阻害を増悪させてしまう可能性があるため、注意が必要です。強い痛みや腫脹、感覚障害、脈拍の消失がある場合は重度となるため、直ちに医療機関を受診し、医師の指示に従いましょう。

慢性型の場合はRICE処置を行い、患部の緊張緩和を図ります。ただし、急性型と同様に強い痛みや腫脹、感覚障害、脈拍の消失となった場合は直ちに医療機関を受診し、医師の指示に従いましょう。

症状が軽減したら、段階的に患部への負荷を増やしていきます。症状の再発や増悪がある場合は、負荷がかかりすぎているため、段階を下げるか、症状がなくなるまで安静にします。

※重症化する可能性のあるケガのため、医療機関を受診し、医師の診断を受けてから運動を再開することを推奨します。

ふくらはぎスタティックストレッチ1 ふくらはぎの緊張低下

1.軽く足を後ろにして、膝を伸ばします。
2.踵を地面につけたまま、前足に体重をかけます。

ONE POINT
つま先の向きを、真っ直ぐ、内向き、外向きの3方向にすることで、ふくらはぎの筋をまんべんなく伸ばすことができます。

カーフレイズ ふくらはぎの筋力アップ

1.踵を少し出して、両足で立ちます。
2.両足でつま先立ちになり、痛めている方の足だけで、ゆっくりと下ろします。
2.両足で上げて、片足で下ろすを繰り返します。

ONE POINT
自分の体重に耐える動きが重要となります。

ページトップスクロール